映画評論家として活動する一方、映画監督として「能楽師 伝承」「なるしまフレンド 俺っち自転車道」といった作品も発表している田中千世子監督が、紀伊半島南部に位置する熊野を舞台に描いた作品。俳優で旅行ライターの海部は、旅のエッセイを書くため親友の岡部とともに熊野を訪れる。初日は神倉神社から熊野川沿いに本宮大社を経由し、十津川村へ。2日目は玉置神社を訪れた後、果無集落の入り口まで登る。3日目は神倉神社で知り合った宮司に誘われて神内神社を訪れ、大山の修験者道場へと向かう。海部は旅を通し、単なる観光では見出せない、熊野の奥深く不思議な魅力にひきつけられていく。旅の行程の多くはシナリオでは決めず、現地で生まれたものをそのまま採用するという方法で撮影された。